日本酒の海外進出、「おんぶで抱っこ」では難しい

8日間のアジアツアーを終えてきました。

 

今回は、4名の蔵元を連れてのツアーだったので、事前準備が結構大変でしたが、

その分、達成感も大きなツアーとなりました。

 

今年の7月ぐらいから話を進めていた、海外Conventionへの参加(11月14,15,16日)ですが、

かなり良い感じにAttentionを集め、とても良い人脈作りと、お話が出来ました。

そして、その中から学ぶ事が非常に多く、このActionへの投資をして良かったと思います。

 

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Conventionは、

  • 事前にどんなレイアウトにするのか?
  • 家具選び
  • 装飾品、備品の調達
  • 空輸、トラックの手配

 

などなど、数ヶ月前からの準備がポイントとなります。

例えば、ゴミ箱1つからレンタルですので、「手配」を上手に出来ないと、

会場で問題ばかり発生する訳です。そういった緊張感のあるOrganizeが求められます。

 

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弊社で抑えたブースは、8月に考えたプラン通りのレイアウトができ、嬉しかったです。

また、蔵元の皆さんのご協力のお陰で、素晴らしい酒も揃いましたし、設営もスムーズに行う事が出来ました。

 

 

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イベントは3日間かけて開かれました。

こういったイベントで大事な事は、「素通りされない事」。これはBottom lineですね。

 

次に、「反応を得る事」が求められます。

 

つまり、広告と同じ考えですね。

「チラシ」と「Convention」には共通する点があります。

 

最終的に、Responseを得るのが目的ですので、 そういったポイントを考えて取り組まないと、

「海外まで行って、酒を試飲させてお終い」

という 残念な結果になります。

 

そして、ブース内での仕掛けが重要です。

それは、○○にSalesをさせる事です。

 

一般的に蔵元の殆どの方は、メインのビジネスが酒造りであり、Marketingや多言語でのCommunicationに長けている訳ではありません。そういった箇所を輸出者がカバーする事で、TEAMになる事が出来、より効率的に商談を進めることが出来ます。

 

特に、Conventionへ来られるBuyerというのは、「スピード感がある貿易の話」を求めます。

あまり酒造りに関しての質問はありません。つまり、輸入者目線での準備、チーム作りが出来ないと、

何度も海外のイベントにブースを構えても、結果は殆ど出ませんよね。

 

僕が狙っているのは、ニッチマーケットを探し、

「蔵元・輸入者・輸出者」この3者にとってメリットのあるビジネスを長い期間出来るようにしたい。

それが狙いです。

 

よく耳にしますが、日本で製造されている日本酒の約2%しか海外へ輸出されていないそうです。

毎年輸出量が過去最高を記録!みたいなニュースが出ても、実際のところ、たった2%です。

金額にして約88億円。

 

ワインが年間、1000億円以上輸入されている事実と比べても、まだまだ2桁も遅れがありますよね。

 

 

「英語が出来ないと海外進出は出来ない」

そんな事を考えるのは大きな間違いです。

 

「英語が出来る」、これは本当に最低限過ぎる話であって、

実際の現場で求められるのは、ハッキリ言ってそれ以上の事。

 

貿易ビジネスで求められるのは、

  • Business savvy
  • Strategy
  • Marketing
  • Team work
  • Action

 

僕は実際に日本酒の輸出をやっていて、こういった事が求められています。

 

蔵元はSuper manではないので、全部を1人でカバーする事は出来ないはずです。

だからこそ、良いTeamを組む事が求められる訳です。

 

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輸入者は、酒造りやSpecよりも別の事に興味があります。

その認識を間違ってしまうと、

  • うちの蔵の歴史は○○○年です
  • 昔ながらの酒造りで・・・
  • ○○○金賞受賞
  • 綺麗な水で酒造りをしています
  • ○○というお米を○○%まで研いています

という話しか出来ませんよね。

 

でもそれって輸入者にとってみれば、魅力的な話でしょうか?

 

もう一度輸入者の目線になってみましょう。

10名の蔵元がConventionにいて、10名が同じ事ばかりをウリ(USP)にしてたら、

聞き手はどんな反応をするでしょうか?

 

相手は、日本国内の酒販店さんではありません。

殆ど知識を持っていない、0ベースの方々です。

 

何を伝える必要があるのか?

よく考えないと、成果は得られませんよね。

そこが海外輸出の重要ポイントの1つではないでしょうか。

 

 

日本酒の香りを最大限に楽しんでもらう工夫

 

日本酒のイベントに行くと、殆どが小さなプラスチックカップを使用しています。

これは、そのままゴミにも出せますし、使い勝手が良いからという理由で使用されているようです。

実際、僕の同じようなカップを3000個持ち込みましたが、

プラスαで、別のグラスも用意しました。

 

そこで僕がアメリカの会社に連絡を取り、このイベントに合わせて用意した秘密兵器があります。

それが、このポリエスチル樹脂で出来ている、ワイングラスです。

今年の夏にシンガポールへ行った際に輸入者さんが使用していて、

「おー、それは良い!」と思い、僕も導入する事にしました。

 

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日本でもちょうど11月ぐらいから販売開始だそうです(http://www.govino.jp/

 

このアメリカの会社のグラスが日本酒の海外イベントで使用されるのは、今回が初の事でしょう。

これを40グラス用意し、現地へ空輸しました。

 

このグラスの良い所は、

  • 質感が良い、安っぽくない
  • 軽い
  • ガラスではないので、壊れにくい
  • 透明度
  • モダンな形

 

一般的な試飲カップと比較すると、酒の香りに「歴然の差」がでます。

ですので、試飲される方も良い香りを楽しむ事が出来ます。

 

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蔵元の皆さんも、「これは香りがよく出るし、普通の試飲カップより良い!」

と好評でした。

 

こういった場で求められるのは、「反応」であり、

自分達目線の「コストを安く抑える」為に参加する訳ではありません。

香りも素晴らしい日本酒ですから、こういったGlasswareも良い物を用意したいですね。

 

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本当に自分達が造った酒を楽しんでもらいたいなら、

飲まれる方の口に入るまでをTake care出来ると、反応率が上がると思います。

 

 

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竹田さんの酒も女性から人気が高く、どの酒も無くなって今うほどの人気でした。

「日本酒が若い女性に人気」こんな図は日本国内のマーケットで、

そう簡単には見れないのが現状ではないでしょうか。

 

 

今回のタイトルを「おんぶで抱っこでは難しい」と書いているのには訳があります。

海外市場開拓の為に積極的に動いている人間と、とりあえず海外で商談会があるから

参加してみようと思っている程度の人間では大きなモチベーションの差があります。

 

  • 意識の低い人間は、「今まで通り」で乗り込んできます。
  • 意識の高い人間は、「仕掛け作りに工夫をし」乗り込んでくる。

 

そこがポイントではないでしょうか。


投稿日: 作成者: Yoshi Nakano
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