今日、1ドル101円にまで急激に円安になりましたね。
最近、ニュースでは円安に関する話題が何かと多いですが、
勢いは止まらず去年の後半から更に円安が進行しています。
2年前、アメリカのインポーターと輸出プロジェクトについて色々と動いていた頃、
その時は$1が78円~76円と、驚異的な円高でした。
例えばFOB価格で1本が1000円で、為替のレートが1$76円と考えた時の価格は・・・、
1000JPY / 76JPY = 約13USD
同じ商品がFOB価格で1本1000円で、レートが1$101円になると・・・、
1000JPY / 101JPY = 約9.9USD
それを12本が1箱に入っている酒と考え、500ケース注文した時を比べてみると・・・、
$13 × 12btls = $156
$9.9 × 12btls = $118.8
1ケースの差額は、$156 – $118.8 = $37.2
$37.2 × 500Cases = $18,600
つまり、まったく同じ商品を注文したとしても、2013年(今日)と2011年では、輸入者にとって$18,600も価格が異なります。円安のお陰で、輸入者は$18,600得した気分で商品を輸入できる事となりますよね。
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1 bottle price |
1case price |
500 case price |
$1 = 76 JPY |
$13 |
$156 |
$78,000 |
$1 = 101 JPY |
$9.9 |
$118.8 |
$59,400 |
101JPYのレートで考えると、18600 USD × 101 JPY = 1,878,600 JPY
190万円近くも価格が異なってくるのであれば、会社経営にも影響を与えますよね。
アメリカのインポーターに
”The Yen has dropped below the 100 yen mark against the US dollar, and today it’s about 101 JPY for a Dollar. What do you think?”
と聞いてみたところ、
”Great news for the price of SAKE.”
というコメントが返ってきました。
日本酒を輸入している海外のインポーターにとって、とても良い流れなのは確かです。
同じ商品を、同じケース数で買ったとしたら、割安で仕入れることが出来る訳ですから、当然ですよね。
では、急激に注文数が増えているのか?というと、それは全く無い。
海外で貿易ビジネスをやっている人は、結構冷静に物事を判断している気がします。
「ひねくれ者?」かもしれない、僕の個人的な意見
円安=海外での日本酒消費量が増えるの?というと疑問点が多い。
そう思いませんか??
$1が90円になった時、僕の海外の知人達から
「$1が90円になったね、自分回りでも日本酒に興味を持つ人が増えたよ!」
なんて言葉は一切なかったです。
インポーターが仕入れる際に割安感を感じる = 現地の流通量・消費量が増える訳ではない。
流通が増える為には、卸会社や小売店・レストラン等からの「欲しい!」というWantsが必要。ドル高・円安になったから「Oh, we’ve been waiting sooo long for this moment, and finally we want to buy and sell more sake!」って流れになるでしょうかね・・。
ニュースだけを見ると、1円の円安が進むと、「大手の自動車メーカーは350億円近くの利益が増える」というような景気の良い話は多いけど、それはその会社が海外でも法人を持ち、自前で商売をやっているから・・・だと思います。
当たり前の事ですが、日本酒を造る殆どの蔵は自社で直販出来る海外拠点を持っていない。と、いう事は、海外で直接自分たちが販売している訳でもないので、そんなに大きなメリットはないのでは?と思います。
海外市場での日本酒としては、円安時に競合に当たるアルコール飲料(ビール、ワイン、リキュール等)に対して価格的競争力がつき、結果的に輸出されるボリュームが増えるようになるのであれば、業界にとって良い兆しかもしれない。
でも重要なのは、「価格だけが競争ではない」という事。
- マーケティング
- 認知度
- 楽しみ方の普及
- リピート率
- ユーザーの増加
こういったのが揃わないと、海外市場で本当の意味のポジションを確立する訳ではないですよね。
「円安が進めば日本酒の輸出が増えるぞ!」なんて甘い考えは危険。
それを頭に入れつつ、引き続き積極的に活動をしていきたいですね。